さて、何から書こう?
言いたい事、
言っていいのかと、迷う事、
いろいろ考えることが多い。
でも、まず、今ここで言えることは、
子供達のレベルが確実に上がっているという事。
審査員席の隣のとても偉い先生が
しきりに、チェッ チェッ 、、
と舌打ちしていたが、
私は、彼に聞く。
「十何年か前の審査の時の主な注意点は、
まず"基礎が出来ていない"。
"スタイルが悪い"でしたよね。
でも、完璧とは言えないですが、
昔に比べたら格段にレベルが上がっていますよね。」
先生は、私に答える。
「私は、もう何十年も日本に来ています。
それは、私にも良く分かっています。」
彼は、審査中に小声で何度も「グロテスクです!」
と囁いていた。
さて、何で私がこんな憎まれる様な事を
あえてここで書くのか?
「皆んな、とっても上手いです!」
と、あえて言わないのか?
はっきり言って本当にスタイルも良いし、基礎も大分しっかりしてきているのだ。
皆んな、それなりに一生懸命にやっているのは分かる。
でも、違うのだ。
本当に大切なのはそうじゃないんだ。
本当の意味で真剣というのは、
もっと違うものなのだ。
バレエは、芸術だと私は信じている。
そして、私と共にそう信じている友がいる。
その友とも話し合った。
「もう本当の意味で"厳しい先生"がいなくなってしまうね。」
それは、残念な事に現在の状況なのかもしれない。
その裏には、
実は、耐える若者(耐えられない若者)がいなくなっているのだ。
才能がある若者がいる。
でも、時代共に我慢するということがなくなってきている。
根本的な心構えが出来なくなっているのかもしれない。
道徳であるバレエという芸術は、
いま、大変に危険な時期なのであろう。
若者達よ!
もっともっと真剣に
踊りに対して精一杯向き合ってくれ!
どんなに精一杯レッスンしても
大丈夫!
今まで、それで、一度も死んだ人はいないからね。