(すっごく長いですのでお時間のある時にどうぞ。)
始まり”
今日は、カバンスクという所に公演に行って来た。
カバンスクはウラン・ウデから約100キロの所にある町である。
バレエ団員、スタッフを合わせ約30人のメンバーを乗せ劇場の
オンボロでポンコツのおじいさんバスは出発した。
朝11時出発といっても11時に出発する事は、
まず無いのが、この土地の習性のようである。
僕は、一応責任者だからがんばって早めに行ったが、
出発が遅れる事は、目に見えている。
前回の地方公演の時がそうだった。
遅刻者続出なのだ。
はっきり言って、こういう事に慣れていない僕は、キレた!
ここで、皆にしっかりと規律を正しておかねばならぬと思ったのと、
遅れても当然という皆の態度が僕を追い込んだ。
でも、遅れたダンサーに対して真剣に意見したのだけれど、
なぜか、しかられたダンサーが面食らった顔をしている。
「ちょっと(けっこうちょっとじゃなかったけど)遅れただけで
何もそこまで怒る事ないじゃんっ。」
みたいな感じなのだ。
僕は一体どういう事なのか
しばらくの間、悩みに悩んだのだけれど、なんて事はない。
どうやら、ここはそういう所みたいなのだ。
町というか、この村にはこの村のテンポというのがあって、
ただ単にそれが以上に遅いのだ。
いろんな村に公演に行ったが、
どの村でも、そののんびり具合と言ったら
それは、凄まじい。
ほんと、僕からしたら凄まじいという言葉がぴったりなのです。
僕も相当時間にルーズなのだけれど
そんな僕にとってもなの、、、。
う〜ん、なんて説明すれば良いのかな〜、、、、?
強いて言えば
ーとても、自然と一体化している。
ー日が昇ると共に起き、日が沈むと共に寝る。
ーとても健康的。
ー優しい。
ーあまり怒らない。
ーみんなニコニコしている。
ー牛や羊と共に生活をしている。
ー時間の感覚があまり無い。
ー羊のお肉はとっても美味しくて栄養がある。
だから、科学調味料はあまり使わない。
ー要するに自然のものを食べる。
ーで食べ物を祖末にしない。
ーあ、そうトイレは汲み取り式が主。
時間とは全然関係ない事も書いたが、
この要素が組み込まれた時間感覚といったら
想像していただけるでしょうか?。
要するに悪気や怠慢さというのが含まれていないのです。
だから、それが分かった時は、起こる気が完全に失せたの。
そして、残念ながら諦めに似た感覚も。
だって1人や2人じゃないんだもん
村全体なんだもん。
牛に向かって「お前!このやろー!!遅れるんじゃない!」って言ったって
「モ〜〜〜〜」
って言われちゃうのを想像しちゃったり。
おっと、前置きが長くなりましたが
しかし、今日は、驚いた事にダンサーが時間にぴったり集合!
でも、それなのになぜ出発が遅れたかと言うと、、、
それは、オンボロでポンコツのおじいさんバスの調子が悪かった為なのでした。
でも、今日はオンボロでポンコツのおじいさんバスのせいなんかではありません。
だって、それは気温がマイナス30度なのですもの。
しかし、責任者のおばさんは運転手さんに怒っています。
「こんなに時間がかかるのだったら、もっと一時間前ぐらいからエンジンをかけておけば良いでしょ!!」
運転手さんは「11時出発なのに8時からかけているんですよ!」
と返事を返す。
おばさんは「じゃあ7時に始めれば良かったでしょ!」
と言い返す。
「、、、、。」
え〜〜〜、
でもってやっと本題です。
やっと出発した僕達でしたが
途中でバスの具合が急変、、。
外は良い天気なのですがマイナス30度。
バスは、しばらく走り町を出ると山の中に入って行きます。
そこでは携帯の電波もちょん切れちゃう。
外は雪景色。
美しいけどマイナス30度。
と、その時、
運転手さんがバスを道路の端に停車したのです。
助手席のひとが「何で停めたの?」
と聞くと
運転手さんは「、、、エンジンが止まった。」
と返事を。
その後、何度かエンジンをかけ直し
なんとかエンジンスタート。
でも、エンジンの調子は最悪。
ガッタン、ガッタン、ガッタン、ガッタン、、、、、
僕はシートに座りながら、「亀の交尾ってどうだったっけかな〜?」
と思い出そうと、、、
え〜、
で、亀の交尾の様な走りで、
ボスは、いつもの魂にお裾分けするパワースポットに到着。
僕は「ヴォッカを撒いてこなきゃ。」
とベテランダンサーに言う。
「はい!」
と、彼は常に常備しているヴォッカを持って外に出て行く。
でしばらくすると「これで、大丈夫!」
と安心して帰って来たのです。
で、、
もうね、
ほんと、信じられないでしょうが
その後、噓の様にエンジン快調。
始めのうちは乗車員一同とても陽気に冗談を言っていたのですが、
5分ぐらいして皆し〜んと何か考えている様子。
もう、どうも説明がつかないのです。
で、帰りにも、同じ様な事が。
ほんと、僕の場合その偶然の確率が100パーセントなんです。
帰りの場合は、ばったりエンジン停止。
もう、何をしても掛からない。
再びベテランダンサー出動。
僕も同行。
魂にヴォッカを捧げる。
道先は長いのでついでに、おしっこもしておく。
と、そのとたんエンジンスタート。
ま、帰りは快調ではなくノソノソだったんですが。
平均時速30キロ。
最高速度40キロ。
ギアは2速以上にすると止まりそうになっちゃうんです。
う〜ん。
ヴォッカを撒くだけにしとけば良かったかな?
でも、なんとか無事ウラン・ウデ到着。
いや〜。
ほんと、今回も楽しい地方公演でした。
あ、そうそう。
踊りの出来は上々。
体調良いで〜す。
では、
皆さん、おやすみなさい。
つまらない記事に最後までお付き合い下さいましてありがとうございました。