大統領のお祝いの言葉でセレモニーが始まった。
さすがだな~。
やっぱり言う事が素晴らしい。
人を尊敬し、大切にし、そして評価する。
こんな素晴らしい言葉の後じゃ
僕はやっぱりスピーチをしない方が良いのかな?
なんて思ちゃうな~。
その後、次々に授与が始まる。
医療の偉い人とか、
船の設計をする人とか、
軍の人とか、
有名な指揮者の人とか、
国民的な歌手とか、
俳優とか。
皆、それぞれの分野で大変な貢献をしてきた人達。
スピーチだって真実がある。
人生をかけてきたんだろうな。
紙を読んでる人は誰もいないし、、。
そして、僕の番が来た。
落ち着くんだ、モリ!
大統領のところへ行き握手を交わす。
勲章を胸に付けていただき、正面を向いて写真を撮ってもらう。
「スピーチをさせて下さい。」
とお願いする。
「もちろんです、どうぞ。」
と大統領はにこやかに優しく言ってくれた。
この時、
僕は、大統領がとても優しい人だと再度感じた。
威圧感が全然無いんです。
とても穏やかで素敵な人だ。
僕は安心して、スピーチをするマイクの前に立ち、
胸のポケットから紙を出す。
「尊敬するドミトリー・アナトーリエビッチ。
この様な素晴らしい勲章を頂き心より感謝をしています。
この勲章授与は、私個人の為だけではなく、
私達の両国、ロシアと日本の友好の為だと思わせてもらっています。
いろいろな問題がありますが、
私達の国は仲良くすべきだと思っています。
もう一つ言わせていただきたい事は、
現在社会は金銭や物質にこだわる傾向があるように感じられます。
とても高い道徳のある国に住んでいるということを忘れがちになっているように思います。
ロシアは、素晴らしい伝統ある芸術が豊富な事は、世界中でも知られています。
その中の一つにロシアバレエがあります。
ロシアの国そしてボリショイ劇場が、芸術を保護しそして開化させていることに対し
ここでもう一度感謝させていただきます。
ドミトリー・アナトーリエビッチ、本当にありがとうございました。
僕は、ロシアが大好きです。」
僕はただの芸術をやっている者として、
感謝の気持ちを言わせていただいたのです。
今までロシアで学ばせていただき、活動させていただいてきました。
日本人の方にもロシア人の方にも
応援していただき、助けていただき、支えてきていただきました。
日本の事も、ロシアの事も大好きです。
両方の国が仲良くなってもらいたいと心から願っています。
現在日本とロシアは友好条約が結ばれていないそうなのですが、
その状況の中、ロシアの国が日本人である僕に勲章を授与するという事は
とても大きな心を持って下さっていると思います。
友好勲章。
素晴らしい名前だと思うんです。
日本ではくれないんですけどね、、、。